能力の低さを理由に閑職に異動解雇
ゲーム機器等製造会社解雇仮処分申立事件
(東京地裁平成11年10月15日決定)
<事件の概要>
家庭用ゲーム機器等の製造販売を業とする債務者に勤務する債権者は、所属する各部署で業務を的確に行えず、頻繁な異動を繰り返していた。
債務者においては、毎年3回の人事考課が行われ、0から10までの11段階(5が標準)中、債権者の評価は4ないし3であった。
債権者は入社9年目に、上司から「当部では与える仕事がない、社内で仕事を探せ」と通告され、社内各部署で面接を受けたが、意欲が感じられないとして受入れ先がなかったことから、債務者は債権者に退職勧告をした。
その後債権者は特定の業務のないパソナルーム勤務を命じられ、その4か月後に解雇された。
債権者は、パソナルームへの異動は退職勧告に応じないことに対する嫌がらせであり、本件解雇は解雇権の濫用で無効であるとして、従業員としての地位の保全と賃金の支払いを求めて仮処分を申し立てた。
<決定要旨>
平成10年の債権者の3固の人事考課の結果は、3、3、2で、いずれも下位10%未満の考課順位であったことなどからすると、債務者において、債権者の業務遂行は、平均的な程度に達していなかったというほかない。
右人事考課は、複数の考課者によって行われた結果を調整する方式になって潜り、相当程度に客観性は保たれているというべきであるが、債権者が平均的な水準に達していなかったからといって、直ちに本件解雇が有効となるわけではなく、就業規則の解雇事由(労働能率が劣り、向よの見込みがない)に該当するといえるた別こは、著しく労働能率が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならないというペきである。
債権者については、従業員の中で下位10%未満の考課順位ではあるが、右人事考課は相対評価苛あることからすると、そのことから直ちに労働能率が著しく劣り、向上の見込みがないとまでいうことはできない。
このように相対評価を前提として、一定割合の従業員に対する退職勧告を毎年繰り返すとすれば、相対的に10%未満の下位の考課順位に属する者がいなくなることはありえないから、債務者は毎年一定割合の従業鼻を解雇することが可能となる。
しかし、解雇事由は極めて限定的に解されなければならないのであって、常に相対的に考課順位の低い者の解雇を許容するものと解することはできない。
これらのことかちすると、債務者としては、債権者に射し、さらに体系的な教育、指導を実施することによって、その労働能率の向上を図る余地もあるというペ蓉であり、本件解雇は権利濫用に該当し、無効である。
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