法人の理念に批判的として看護婦いじめ
社会福祉法人看護師精神障害発症事件
(名古屋地裁平成17年4月27日判決)
<事件の概要>
知的障害者更正施設、授産施設等を運営する社会福祉法人(被告)に雇用される女性看護師(原告)は、施設の所長(被告A)と口論になり、その後うつ病を雁思して約1か月休職し、復職後も精神神経科の診察を受けていた。
原告はその後、労働組合を脱退して個人加盟のユニオンに加入したところ、職員会議の席上、被告Aは原告が綱領を否定することは認めないと発言し、副所長(被告B)、組合執行副委員長(被告C)、執行委員(被告D)もこれに同調し、法人の理念に批判的であるとして原告を攻撃した。
原告は、本件職員会議後、不眠、情緒不安定等の症状を訴えて休職し、労災保険法に基づく療養補償給付、休業補償給付等の支給を受けた。
原告は、本件職員会議において、被告らより組織ぐるみで非難された結果、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症して休職を余儀なくされたとして、被告らに対し慰謝料1,000万円を請求するとともに、被告法人に対し、貸金、期末・勤勉手当相当の損害金の支払いを請求した。
<判決要旨>
本件職員会議は被告Aらが原告を非難、糾弾する意図で進行されたものといえる。
そして原告は職員会諌において非難、糾弾された結果、精神的疾患にり患し、休職を余儀なくされたのであるから、被告Aらの発言内容及びその震動による各職員の発音内容に照らせば、会議の進行方法は正当な首輪活動の範囲を逸脱するものといわぎるを得ず、違法に原告の人格権を侵害したものというペきである。
したがって、被告Aらは連帯して原告に対する不法行為兼任を負うというべきである。
被告Aらはいずれも被告法人の職員であり、本件職員会諌は施設長によって主宰されるものであることに照らせば、被告Aらの不法行為が被告法人の事業執行についてされたものであることは明らかであるから、被告法人は被告Aらの不法行為について、民法715条の使用者責任を負う。
原告は心因反応を発症したが、PTSDにり患したとまで認めることは困難である。
被告Aらの不法行為の態様、被告法人及び労組の同不法行為へのかかわり方、休職期間のほか、逸失利益についても慰謝料算定の上で考慮するのが相当であるところ、原告の症状に照らせば、原告の復職が困難であること等の一切の事情を考慮すると、慰謝料としては500万円が相当である。
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