期間雇用職員の育児休業申入れ後の仕事外し
財団法人附属機関育児休業雇止め事件
(第1審 東京地裁平成15年10月31日判決)
(控訴審 東京高裁平成17年1月26日判決)
<事件の概要>
被告社団に、平成8年7月から1年契約で勤務する英国人職員(原告)は、第3子の出産にあたり初めて育児休業(平成14年4月から平成15年2月まで)を請求したところ、被告は原告に育児・介護休業法の適用はないとして、産休終了後の雇用期間満了をもって雇止めする旨通告した。
原告は、自分は正規職員であって育児休業の資格があると主張したが、労働契約の期間の有無で対立し、被告は原告に対し請求する育児休業と同期間の無給の特別休暇を与える旨提案した。
しかし、原告は育児休業の取得を主張してこれを拒否したため、原告は産休明けに職場復帰したものの、結局1年後に雇用契約を終了させる旨の通知がなされた。
これに対し原告は、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と貸金の支払いを求めるとともに、育児休業拒否により産休明けからの出勤を余儀なくされ、出勤しても机やパソコンがなく、仕事も与えられなかったなどとして、慰謝料等600万円を請求した。
<第1審判決要旨>
本件労働契約は、6年間更新手続きが一切なかったこと、原告の昇給が契約の更新時とは無関係な時期に行われていたこと、原告には他の有期雇用職員と異なり口頭での意思確認すらなかったことを総合すると、当事者の意思は最初の更新以後は期間の定めのないものとしていたと認めるのが相当である。
平成14年当時、被告に経費節減の必要性があったことは認められるが、EU側の財源で雇われている原告について人員削減の必要性は高いとはいえないから、本件解雇は無効になるというべきである。
育児休業は、その取得を理由とする不利益取扱いが禁止され、育児休業中は雇用保険の育児休業給付金が受給できるところ、本件特別休暇は育児休業と同等の休暇の付与とはいえず、育児休業の拒否は違法の評価を免れない。
被告の育児休業拒否によって、原告は生後2か月の第3子を預けて出勤せざるを得なかったこと、出勤しても仕事をほとんど与えられず、机もパソコンもない状態であった一方、被告が育児の便宜のため特別休暇の付与を申し出たこと、和解案を提示する等一応の努力を行ったこと等も一定考慮すると、慰謝料は40万円、弁護士費用は10方円とするのが相当である。
本件は被告が控訴し、原告も附帯控訴したが、控訴審では、本件労働契約は期間雇用であるとする点で原審と判断を異にしたものの、契約更新の実態から見て原告の更新への期待には合理性があるとして、結局双方の控訴を棄却し、原審と同一の結論としている。
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