不満そうなオーラを理由に雇止め
札幌(病院準職員)雇止め事件
(第1審 札幌地裁平成16年11月10日判決)
(控訴審 札幌高裁平成17年11月30日判決)
<事件の概要>
本件病院を経営する医療法人(被告)に準職員の介護貞として採用された原告は、試用期間後、被告との間で期間を1年間とする労働契約を締結して約4年間勤務したが、新たに赴任した所属長から、勤務態度を改善することを指示され、人事考課の点数が合格点の70点に達していない旨指摘を受けた。
さらに同所属長は、その後原告に対し、「笑顔がない」、「患者や他の部署から苦情が出ている」、「不満そうなオーラが出ている」と指摘し、改善が見込めか、として、次期の労働契約を更新しない旨通告した。
原告は、本件労働契約は期間の定めのないものであること、仮に1年を単位とする契約であったとしても、契約締結の経緯、大多数の準職員が更新を繰り返していることなどから、合理性のない雇止めは権利濫用となること、被告は勤務態度について抽象的な指摘に止まっていること等から、本件雇止めの無効を主張するとともに、容姿や人格に対する中傷を受けたとして、慰謝料等150万円を請求した。
<第1審判決要旨>
原告は、契約更新を重ねて4年3か月間本件病院で勤務していること、本件病院の介護者の多くが契約更新を重ねていることに照らせば、原告は本件労働契約が当然に更新されると期待を有していたといえ、介護鼻の労働条件が正職員とほとんど差異がないことに照らせば、被告は介護者を長期間雇用することを意図していたといえる。
したがって、本件労働契約は実質的に期間の定めのない労働奥約と異ならないというべきであり、本件雇止めが著しく合理性、相当性を欠く場合は、権利の濫用として無効であると解される。
原告は、平成13年度の−次考課では合格点の70点に達し、勤務成績が向上していることに照らせば、所属長の交替による評価基準の相異が窺われる。
また、新所属長らが主として問題にする点は、笑顔がないなどと多分に主観的な事柄であり、原告の介護鼻としての不適格性について直ちには断じ難い。
さらに原告が注意を受けてから本件雇止めまで2か月程度であること、原告はこれまで1度も懲戒処分を受けたことがないことなどを考慮すれば、本件雇止めは著しく合理性、相当性を欠くといわぎるを得ず、無効である。本件雇止めは不法行為に該当すると解され、慰謝料20万円、弁護士費用5万円が相当である。
本件は被告から控訴されたが、第1審とほぼ同様の理由で棄却され、慰謝料が45万円に引き上げられた。
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|