女性従業員の無能ぶりをからかい解雇
大阪(運送会社)女性従業員いじめ退職事件
(大阪地裁平成22年1月29日判決)
<事件の概要>
運送業を営む被告の社長は、入社間もない女性従業員Bと面談し、原告から仕事ができないと言われたこと、経理事務3級を持っているのにどうしてそんなことが分からないのかと馬鹿にされたこと、事あるごとに顎で指示され、露骨に邪魔者扱いされたことを訴えられ、退職の申出を受けた。
また同社長は、女性従業員AとBから、原告に「他の人が断ったので仕方なく採用された」などと言われたと訴えられた。
その後同村長は、原告、A及びBを呼んで仲良く仕事をするよう促したが、Aはこれまで原告に散々いじめられてきたこと、Bは原告から余りに失礼な振る舞いに遭ったことをから、共に我慢ができないとして退職した。
被告は、原告がA及びBをいじめによって退職に追い込んだこと、専務のスキルが低いことなどの理由で普通解雇したところ、原告は本件解雇を無効であるとして、労働契約上の地位の確認と未払賃金の支払いを請求した。
<判決要旨>
原告とA及びBとの間に感情的なトラブルがあり、その原因の一端が原告の両者に対する言動にあったことがうかがわれるが、原告は両者の苦情に係る事実を否定し、あるいは歪曲されていると主張していること、苦情に係る事実関係の真偽について、被告は原告あるいは他の職員に対して確認をしたとは認められず、上記苦情に係る事実があったことを証する的確な証拠があるとは言い難いこと、原告の直属上司も、A及びBからの苦情について、原告に注意指導等を行ったとは認められないことが認められ、これらの点からすると、原告のA及びBに対する言動に多少配慮に欠ける点があったことは否定できないものの、原告が両名に対していじめ等の行為を行っていたとまで認めることはできない。
また、仮にA及びBの申し出に係る原告の言動があったとしても、被告は当言責事実について、A及びBの言い分と原告の言い分を十分聴取した上で、原告の態度及び職場環境の改善等を図るべきであるところ、被告において、原告や他の職員に対して事実関係の調査等を行ったとは認められず、また原告だけを個別に呼んで、苦情の内容を挙げ、同人の言い分を聴取した上で、注意指導する等の措置を取ったことは認められない。
また、原告の事務のスキルが低いことも認められない。
以上からすると、本件が少人数の事務所におけるいじめが問題となった事案であること、原告の言動に苦情を訴えていたA及びBが入社後短期間で退職したことを考慮してもなお、本件解雇には合理的な理由があるとはいえないから、無効といわざるを得ない。
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|