協調性の欠如で退職勧奨と解雇
時計・喫煙具等販売会社解雇事件
(大阪地裁平成12年5月8日判決)
<事件の概要>
時計・喫煙具、健康食品等の販売を業とする被告は、バブル経済崩壊後業績不振となったことから、希望退職を募集し、併せて退職勧奨を行った。
支店長などを歴任した原告は、組織改編の際、協調性に欠けるなどとして退職勧奨を受け、これを拒否して本社総務部付となった(本件配転命令)ところ、被告は原告を配置するため新たに市場情報室を設置して原告を配転した。
被告はその1年後、原告が実績を上げていないこと、他の部署に配属することはできないことを告げて退職を勧奨したほか、業績評価が平均を大きく下回っていること、協調性が欠如していること等を理由に降格し(本件降格処分)、その約2か月後に原告を解雇した。
原告は、本件解雇は整理解雇の要件を満たしていないから無効であること、市場情報室で成果を上げていないことを理由とする普通解雇も理由がないことを主張して労働契約上の地位の確認を請求したほか、本件配転命令及び本件降格処分も無効であるとして、差額賃金の支払いを請求した。
<判決要旨>
被告において、大幅な人員削減の必要があったことは認められるが、その人員は相当減少し、その必要性は相当程度減少していたといえる。
市場情報室における原告の成鰍ま決して優良とはいえず、就業態度も良好でなかったことが窺われるが、営業成績自体は平均的なレベルであったし、原告を営業要員とすることが困難であった事情は認められない。
また原告は、過去大阪以外で勤務したことがあり、他の地域への配転を拒絶した事実もない上、自己申告書において営業以外の職種についても希望していたことからすると、原告の配置については、関連会社の出向も含めて検討の余地はあったということができる。
以上のとおり、人員削減の必要性が小さくなっており、他に配転等の解雇回避措置を採りうる状況下では、原告に対する本件整理解雇は、解雇権の濫用として無効といわぎるを得ない。
被告は、普通解雇の理由として、原告の市場情報室での執務状況及び業務命令逮反をあげるが、市場調査室の態勢は不十分であって、その責任を原告一人に負わせるのは酷であり、支店営業活動への支援に係る業務命令違反についても、それだけで解雇を合理的とするようなものではないから、普通解雇としても効力を諦めることはできない。
本件配転命令による資格等級に変化はなく、手当を除く賃金にも変化はないから、これを無効とする事情は諦められない。
本件降格処分は、職能部分の賃金の減額を伴うところ、原告はこれを承諾しておらず、根拠規定も明らかでないから、これを認めることはできない。
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