長期休職職員に対し職場ぐるみの暴力といじめ
水上警察署集団暴行等事件
(東京地裁平成20年11月26日判決)
<事件の概要>
平成11年4月に警視庁に海技職として採用された原告は、警備艇の操縦を拒否し、その一方で、活動記録表に早く辞めたい旨落書きするなどしていた。
原告は平成12年6月から椎間板ヘルニアで入院した後、分限休職処分を受け、平成15年9月、課長は原告が退職勧奨に応じないため、「野郎、てめえおちょくってんのか」と怒鳴りながら暴力を振るって後頭部に全治1週間の負傷をさせた。
原告はさらに分限休職処分を受けたが、その後も辞表の提出を拒否したところ、「組織では生きていけない」などと言われたり、交際相手の女性に「こんなクズとは付き合わないように」などと電話をされるなどした。
原告は平成16年11月に復職したが、遅刻、早退、欠勤を繰り返したところ、課内に「欠格者」などと記載された顔写真入りのポスターを掲載され、その後も「税金泥棒」、「早く辞めろ」などと言われ、タバコの火を当てられるなどしたほか、コルセットをしている首元を押し付けられるなどした。
原告は、上司らのいじめを新任課長に訴えたところ、課長は「命令を聞かない奴は撃ち殺す」などと述べ、上司らの言動を支持する旨伝えたことから、原告は4人の上司ら及び東京都に対し慰謝料等1,100万円余、その他の上司らに対して慰謝料300万円を請求した。
<判決要旨>
相当と認められる限度を超えて不当な心理的圧力を加えたり、その名誉感情を害するような言辞を用いたりするような退職勧奨行為は不法行為を構成し得るものと解される。
しかるところ、被告らの行為は、退職勧奨として相当と認められる限度を超えて不当な心理的圧力を加えて依願退職を強要しようとした違法なものというべきである。
被告らの一連の行為は、職場から原告の排除を図るために、上司とこれに加担した同僚らによる不法な有形力の行使や侮蔑的言動等を伴う違法な退職の強要及びハラスメント並びに就業環境配慮義務違反に当たるというべきであるから、全体として原告に対する不法行為を構成すると認められる。
本件不法行為は、2年に及ぷ長期間、上司や−部の同僚によって多数回繰り返されたものであって、こうした不法行為の期間、回数、態様、原告の受傷の程度等に照ら如ぎ、原告の復職を望まない雰囲気が課内に存在していることに関しては従前の原告の勤務態度等に起因する部分もあることなどの事情を斟酌しても、本件不法行為による精神的肉体的苦痛に対する慰謝料の額は270万円を下回らない。
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