勤務態度不良などにより看護婦を洗濯場に配転
国家公務員共済組合連合会看護婦配転事件
(仙台地裁昭和48年5月21日判決)
<事件の概要>
国家公務員共済組合連合会東北共済病院を直営する被告は、看護婦長(原告)が、看護婦との間で絶えず紛争を起こして看護婦全員から院長に対し婦長交代が要請されたこと、目に余る患者の差別をしたこと、完全看護への移行について院長の指示を守らなかったこと、感情的独断的態度について再三の注意に対しても改めようとしなかったことから一般看護婦に降格し、その後も医師や看護婦との協力関係を保てなかったことなどを理由として、原告に退職を促した。
原告は「どんな仕事でも良いから病院で働かせて欲しい」と要望したことから、被告は、原告を労務職に転換させた上、洗濯場に配置転換した。
これに対し原告は、看護婦として労働契約を締結したから、労務職への配転は無効であるとして、看護婦と労務職との差額賃金及び慰謝料150万円を請求した。
<判決要旨>
凡そ看護婦の資格を有し、現にその職にあ番載のが、労務職への転換にたやすく同意することは通常ありえないところ、原告は配転を拒否すれば解雇されると考え、己むなく洗濯場に赴いたものの、労働基準監督署や労政事務所に相談し、院長の回診の際には看護婦職への復帰を訴え、労働観舎を通じて配転の撤回を求めるなどしていることからみると、原告の「仕方ありません」の返答をもって、原告が本件配転こ真実同意したとは認めがたい。
原告が洗濯場勤務を命じられて以来、被告の措置に抗議して今日に及んでいることから、原告が10余年にわたり継続して洗濯場勤務に従事したとの一事のみでは本件配転について原告の黙示の同意があったとは認め難く、また信義則違反の原則に該当す巻とも解し難い。
したがって、本件配転は労働契約に違反し無効であるから、被告は原告を看護婦の職務に従事させるとともに、本件配転によって原告が蒙った損害を賠償する義務がある。
原告は看護婦勤務当時、勤務成績不長のため昇給を停止されたが、被告の従業員の給与は原則として一定期間の勤務によって特段の事情がない限り定期的に昇給していることが認められ、労務職転換前の原告の言動をもって定期昇給を妨ばる特段の事情とは認められないから、原告が看護婦に留まっていれば、一般の看護婦と同様に定期昇給していたと看るのが相当である。
また、原告が被告の違法な配転命令によって、長期にわたり甚大な屈辱を受けたであるうが、他面、配転命令を受けるに至った経緯の中には原告にも反省を要する点が少なくなく、慰藷料は20万円をもって相当と認める。
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