病休後の頻繁な配転や仕事外し
全保連看護師配転事件
(大阪地裁平成18年3月17日判決)
<事件の概要>
被告社団の経営する痛院の手術室の科長として勤務する原告は、上司の看護局長(被告)と意見が合わず辞意を伝えた。
原告は慰留されて病体後に出勤したところ、科長室勤務となり、その3か月後に透析室、8か月後に再び科長室、3か月後に外科外来にそれぞれ配転され、この間に反省レポートの作成を命じられたが、これに応じなかった。
原告は、本件各配転は退職に追い込むためのものであり、無効であるとして、@外科外来で勤務する義務がないことの確認、A不当な配転を行い、その過程で仕事を与えないなど原告の人権を蹂躙したことを理由とする被告社団への慰謝料を請求するとともに、被告が原告を精神病扱いして退職を強要するなど名誉を毀損したなどとして、被告及び被告社団に対し、連帯して慰謝料を支払うよう請求した。
<判決要旨>
原告が3週間にわたり病体等を取得したことに加え、診断書に「心因反応」と記載されていることから、被告社団が原告を継続して手術室科長とすることに不安を感じて科長室に配転したことはやむを得なかったというペきで、常転命令権を濫用した事情を窺うことはできない。
また、透析室への配転こついても同様である。
2度目の科長室への配掛こついては、そこでの業務は1週間程度で終わるものであり、この作業をさせるためだけに原告を科長室に配転させる必要性は見出し難い。
仮に原告に反省させる必要があったとしても、科長室へ配転させる必要性は認められず、この配転は違法というペきである。
また外科外来は、本来係長クラスの看護師が配置されることが窺えるが、この事情だけで科長である原告を配置することが配転命令権の濫用と認める証拠はない。
以上によると、2固目の科長室への配転は違法といわぎるを得ないが、他の配転については違法性を認めることはできない。
2回目の科長室への配転の結果、原告は精神的損害を受けたというべきで、被告社団の不法行為を構成し、3か月間看護師としての仕事を与えられない精神的損害の程度は慰謝料50万円をもって相当と認める。
被告は、当初は原告の症状を気遣う側面を有しており、また原告が2回目に科長室に配転された後、原告について「被害妄想」、「正常な判断ができない」などと表現することがあったが、それが直別こ不法行為とはいえず、仕事らしい仕事を与えていなかったが、これだけで原告に対する個人的な嫌がらせ、周囲への見せしめとまで認めることは困難である。
被告が原告の行動について情報を収集したり、原告に対しかつての部下との接触を避けるように指示したことが窺えるが、これをもって被告個人の不法行為の成立を認めることはできない。
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