異性関係が派手の噂で退職強要
福岡(出版社)退職強要事件
(福岡地裁平成4年4月16日判決)
<事件の概要>
女性編集者(原告)が被告会社に入社して1年程経過した頃、編集長(被告)は取引先関係者らに対し、原告の性的関係の派手さ、性的言動に関する噂を流し、退職を求めるようになった。
原告は専務に対し、被告に謝罪させるよう求めたが、専務は両者の話し合いによる解決を求めた上、話し合いがつかなければ退職してもらうと伝え、結局原告は退職に追い込まれた。
原告は、女性であることを理由に差別的取扱いを受け、性による差別を受けない権利を侵害されたとして、被告及び被告会社に対し、慰謝料等367万円を請求した。
<判決要旨>
被告の−連の行為は、直接原告に対して揶揄する行為と併せて、働く女性としての原告の評価を低下きせる行為であり、しかも、これらを専務に真実であるかのように報告することによって、最終的には原告を退職させるに至っており、これらが原音の名誉感情その他の人格権を害するものであることは言うまでもない。
また、被告の一連の行為は、原告の職場環境を悪化させる原因となったものであり、被告としては、そのような結果を招くであろうことは十分に予見し得たというペきである。
もっとも、原告の職場環境の悪化の原因となったのは、必ずしも被告の一連の言動のみによるものではなく、原告と被告との対立関係にも大いに起因するものである。
本件被告の一連の行為は、職場の上司としての立場からの職務の一環等としてされたものであるから、被告会社は使用者としての不法行為責任を免れない。
原告は、異性関係等に関ずる噂の流布などから被告と対立し、これが原因となって退職に至ったこと、働く女性にとって性的関係などの悪評を流されることは精神的負担となり、勤労意欲の低下をもたらすものであって、原告は打も込んでいた職場を集ったこと、被侵害利益が女性としての尊厳や人格権に関わることであることなどに鑑みると、原告の精神的苦痛は相当なものであったと窺われる。
他方、原告も時には被告に対し攻撃的な行動に及んだことなどから、両者の対立を激化させる一端となったことも認められ、また、原告の異性関係の一部は原告自ち他人に話したことも認められる。
これら諸般の事情を考慮すれば、慰謝料は150万円、弁護士費用は15万円が相当である。
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