ノルマ不達成で転勤命令と解雇
コンピューター販売等会社転勤拒否解雇事件
(第1審 京都地裁平成12年4月18日判決)
(控訴審 大阪高裁平成13年11月29日判決)
<事件の概要>
コンピューターの販売、リース等を業とする会社の京都支社に勤務する原告は、支社長Aと考えが合わず、Aから無理なノルマを命じられたほか、有給休暇を申請すると、結果を出してから休めと却下され、その後Aに暴言を吐いたとして自宅待機を命じられた。
原告はその4か月後、メニュール病で休業し、2か月後に職場復帰したが、めまい発作を防ぐため残業をしないようにしていた。
その1年余り後に赴任した新支店長Bは、原告の売上げが伸びないのは意欲や努力が欠けているからであり、他の従業員との協調性もないと判断し、原告に大阪支社への転勤と主任からの降格の発令をしたところ、原告は辞令の受け取りを拒否し、京都支社に出勤し続けた。
そこで被告は、原告に即時解雇を通告し、解雇予告手当を提供したが、原告がこれを拒否したため、業務命令違反等を理由に原告を解雇した(本件解雇)。
これに対し原告は、勤務地を京都に限定する条件で採用されたこと、長時間通勤は無理であって、転勤拒否を理由とする本件解雇は無効であることを主張して、地位の確認等を求めた。
<第1審判決要旨>
原告は、被告から法的根拠がないのに自宅待機命令を受け、その間にメニエール病に罹患したため、職場復帰した後はめまい発作が起こらないよう注意していたこと、メニエール病のため仕事に支障が生じるかもしれないことは周知されでいたこと、被告が原告につき、飛び込みによる会計事務所の新規開拓の仕事に専任させており、この売上はもともとわずかしか期待できなかったものであったこと、大阪支社への通勤は1時間40分以上要するが、病気のためこのような長時間通勤に耐えられるか疑問であることの諸点を勘案すると、本件転勤命令は、転勤命令権の濫用であって許されない。
原告は、本件転勤命令後も大阪支社に出勤しなかったが、右命令が許されない以上、無断欠勤とはいえないから、これを理由とする本件解雇も無効となる。
控訴審では、被控訴人(原告)が業績を上げにくい異例の業務を指示され、達成困難な目標設定や、理由のない有給休暇の却下、半年間の自宅待機、復帰後の降格という経過から見て、控訴人(被告)は被控訴人の能力の積極的活用を目指していたとは到底評価できず、その期間も4年間に及んだことから、本件配転は専ら被控訴人を京都支社から排除するものであり、被控訴人は降格の上、かつての部下の下で働くなど屈辱的な内容であったことなどを挙げ、本件転勤命令及び本件解雇を権利檻用に当たり無効としている。
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