使い物にならない人はいらないと言われうつ病発症

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使い物にならない人はいらないと言われうつ病発症

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退職道場パワーハラスメントとなる判例>使い物にならない人はいらないと言われうつ病発症

使い物にならない人はいらないと言われうつ病発症

自動車会社長期出張うつ病事件

(名古屋地裁平成20年10月30日判決)

<事件の概要>

自動車の電気・電子部品の製造販売等を業とする被告D社から、自動車の製造販売を業とする被告T社に1年の予定で長期出張した原告は、上司(E主査)から日常的に厳しい指導を受けたほか、時間外労働がD社時代より相当長くなり、通勤時間も大幅に延びた。

E主査は、会議の席上、出席者全員の前で、原告に対し「もうD社に帰っていいよ。使い物にならない人はいらないから」と言い、原告はこれにショックを受けて翌日から2日間仕事を休んだ。

原告は、当初予定の1年を超えてT社に残るよう指示されたことからうつ病を発症し(第1回うつ病)、D社に戻ったものの、夏休み以降2か月間の休業をした。

原告はD社復帰2年後にT社との共同開発チームの一員として新たなエンジンの部品設計に携わったところ、その会議の席上、原告の報告に対し、かつての上司であったT社のE主査は、「D社はやる気があるんですか」と発言し、原告の上司であるD社のS室長も「前任者に比べて進捗が遅い」と原告を叱責したことから、原告は新たな精神障害である「反復性うつ病性障害」を発症した(第2回うつ病)。

原告は、2度にわたるうつ病の発症は、被告両社の原告に対する安全配慮義務違反によるものであるとして、被告両社に対し、休業損害148万円余、人事考課査定の不利益等による逸失利益565万円余、慰謝料1,000万円、弁護士費用170万円を請求した。

安全配慮義務の具体的内容は,通常であれば,被告らには社会通念上、客観的に見て平均的な労働者をして精神障害等の疾患を発生させるような過重なもの(客観的過重労働)にならないように注意すれば足りるとしても、それに至らない程度の過重な業務に従事させている労働者がそのまま業務に従事すれば心身の健康を損なうことが具体的に予見されるような場合には、その危険を回避すべく配慮すべき義務があり、これを怠れば同義務の不履行になるというべきである。

原告は、本件長期出張中、月間70時間前後の時間外労働をし、第1回うつ病発症直前の2か月は各80時間を超える時間外労働をしており、通勤時間も大幅に増えたが、他方、休日出勤はなく、有給休暇も消化していたから、原告の労働時間はそれだけではうつ病発症の危険性を大きく高める程度ではないものの、その通勤時間も考慮すると、個体例の要因と相まってその危険性を招来する程度には優に達しているというペきである。

原告が担当していた業務は緊急度が高く、長時間の残業も生じやすい状況にあり、またE主査が誰に対しても厳しい上司であって、しばしば叱責等の厳しい指導を行っていたことも認められる。

そうすると、原告の業務は、客観的過重労働には至らないものの、個体側の要因と相まってその危険性を招来する程度には達しているというべきである。

会議の席で原告がE主査から厳しい叱責を受けたことについては、その叱責理由が正当でないとはいえないまでも、その表現は過酷で、パワーハラスメントと評価されても仕方のないものである。

他方、E主査が掛こ原告にのみ厳しかった事情はなく、会議での叱辛から第1回うつ病発症まで5か月間経過しており、その間原告がE主査から個人的に厳しい叱責を受けた事情が存在しない以上、E主査の叱責は第1回うつ病の発症に直接寄与したとは言い難い。

第1回うつ病は、D社部長が帰社させると約束しながら、原告はその期間を過ぎても帰社できず、かえって出張期間を延長させられたことから発生したものであり、このことは被告らにおいて概ね認識しうるものであり、原告は平均的な社員よりも精神的に脆弱であったこと、原告の業務負担を軽減しなければ原告がうつ病を発症し、休職に至るおそれがあることを予見することができたというべきである。

したがって、被告らが原告に行わせた業務の遂行ないしこの軽減措置をとらなかったことと第1回うつ病発症・悪化との間には条件関係が認められるほか、原告の業務上の過重負荷が第1回うつ病発症等に相当程度寄与しており、原告の性格等と共働原因となってこれを招来したというべきであるから、相当因果関係も認められる。

原告がT社の担当者に対し、1人では対応できないと訴えたことにより、T社は原告に対し業務の軽減等の援助を与える義務が生じ、その後も原告の業務遂行状況や健康状態に注意する義務があったにもかかわらず、少なくとも原告が第1固うつ病を発症するまではこれを怠っていたのであるから、T社には安全配慮義務の不履行がある。

D社も、原告の業務遂行状況や健康状態に注意し、援助を与える義務があったにもかかわらず、少なくとも原告が第1固うつ病を発症するまでこれを怠り、かえって長期出張を延長したのであるから、安全配慮義務の不履行がある。

原告は、D社に復帰後、被告らの共同開発車の設計業務に携わるようになったところ、開発会鋳でE主査が「D社はやる気があるんですか」と発音したこと、D社の室長が「前任者より進捗が遅い」などと叱責したことは原告に一定の精神的負担となったことが認められる。

しかしながら、E主査の発言はD社ないし主担当に向けられたもの、室長の叱責もチームに向けられたものと理解するのが相当であるから、原告の負担もそれほど重いものではなかったとみるのが相当である。

第2回うつ病発症・休職は、原告の業務が変わってから極めて短期間で進行してから、原告の心身の健康に障害が生じるおそれがあると予見することは困難であり、またD社は原告のうつ病の再発を受けて業務負担を軽減しているから、D社には原告に対する安全配慮義務違反があったと認めることはできない。

原告の休業損害は45万円強、慰謝料は150万円となるが、第1固うつ病発症には原告の精神的脆弱性や性格も影響していると考えられるから、3割の減額をするのが相当である。


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