退職勧奨拒否で降格と給与額半減
エアフィルター製造等会社給与減額事件
(東京地裁八王子支部平成15年10月30日判決)
<事件の概要>
自動車エンジン用エアフィルター等の製造販売を業とする被告は、能力主義による新人事制度を導入し、従業貞を1等級から11等級に区分して処遇することとした。
被告は米国の親会社から、利益目標値を示され、これを達成していない原告ら24名に対し退職を勧奨し、退職勧奨に際し、これに応じなければ年収を50%から20%減額すると説明した結果、原告及び1名を除き全員が退職した。
原告は55歳時に退職金のほか、3か月分の上乗せ等の条件を示されたが、合意退職に応じなかった。
その後原告は、新設された廃液処理班に唯一人配転され、同時に6等級から最低の1等級に降格されて、給与を従前の半額に減額する本件給与辞令を交付された。
原告は、本件給与辞令は、就業規則に根拠がなく、退職勧奨拒否に対する報復であること、労働能力に大きな低下はないこと等を主張し、被告に対し、本件給与辞令の無効確認と、差額貸金相当額の支払いを請求した。
<判決要旨>
給与減額の合理性の判断に際しては、これによって労働者の受ける不利益の程度、労働者側の帰責性の程度選びそれに対する使用者側の適切な評価の有無、従業員側との交渉の経緯等を総合考慮して判断されるべきと解される。
原告の出勤状況は、病気療養が必要であった当時、欠勤率が平均に比べてかなり悪かったものの、本件給与辞令直前の出勤状況はさほど悪いものとは認められない。
また、原告は、これまで1度も降格や減給となったことがなく、新人事考課制度導入時においても「6等級」とされて、その後同等級下で2固の人事考課を受け、ともに平均的な評価を受けていたものであるから、その当時は6等級相当の能力があり、ぞれに見合う職務を担当していたと推認されるところ、本件給与辞令交付直前には、原告は6等級の評価を受けるだけの労働能力を有していたというペきである。
そして、本件給与辞令により原告になされた「1等級」の格付けは、評価の適切さという点で極めて合理性を欠くといわぎるを得ない。
以上によれば、本件給与辞令による原告の不利益は暮しく大きい一方、原告の労働能力が従前の評価に放して著しく劣っていたということもできず、また、被告の経営状況に照らせばその必要牲が高かったとまではいえず、さらに十分な代償措置も講ぜちれておらず、組合も本件給与辞令に同意したとはいい難いから、原告の給与を約半分に減額させる本件給与辞令に合理性があったということはできない。
本件給与辞令は無効であるかから、原告は、現実に支給された給与額及び賞与額と本件給与辞令がなければ受けていたであろう給与額及び賞与額との差額を請求することができる。
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