町長の妻が万引き発言で雇止め
山梨(町嘱託職員)不再任事件
(第1審 甲府地裁平成17年12月27日判決)
(控訴審 東京高裁平成18年5月25日判決)
<事件の概要>
S町教育委員会の嘱託職員である原告甲及び同乙は、任用7年目以降は半年ごとに任用期間を更新されてきた。
任用10年経過後、被告町長は原告らを町長室に呼び出し、原告甲に対しては、「妻が万引きしたと触れ回った」、原告乙に対しては、「自分の胸に手を当てて考えれば分かる」と言って、その期間満了で任用を打ち切った。
そして、被告町長は翌月の議員運営委員会等で、議員の質問に対し、原告らに金銭的不正があった旨回答した。
これに対し原告らは、任用の打切りは期待権の侵害であること、被告町長らが主張するように仕事中遊んだり、アルバイトを泥棒扱いしたり、被告町長の妻が万引きしたとの話をしたりしたことはないとして、被告S町に対しては嘱託職員としての地位の確認と慰謝料200万円、被告町長に対しては慰謝料200万円をそれぞれ請求した。
<第1審判決要旨>
町長室における町長の発音は、原告らに対する誹韓中傷とまでは認められず、両者の名誉を毀損するとは謎められないが、議員運営委員会等における金銭的不正の発音は、人格的価値に関わる事項であり、
一般的に人の社会的評価を低下させるものといえるから、原告らの名誉を毀損するものと認められる。
この発言は、真実性の立証がなく、それが専ら公益目的に出たものと認めることも困難であるから、町長の発言は不法行為に当たる。
期限付き任用の嘱託職鼻等については、職員において同期間満了後に再任用されることを期待する法的利益を有すると認めることはできない。
本件において、原告らは期間満了後引き続牽嘱託職員の地位を有しているとは認められないが、任用継続を期待することが無理からぬとみられる行為を任命権者がしたような特別の事情がある場合には、任期満了により退職した職員に賠償を認める余地がある。
原告らは、具体的な勤務上の問題や公務員としての不適格性があったとは認め難く、再任用の期待を有しながら、全く身に覚えのない理由で再任用を拒否され、人格的利益が著しく侵害されたから、被告S町は原告らに射し、その損害を賭催する責任を負う。
町長の発音についての慰謝料は、原告らにつき、各30万円が相当であり、敦育委員会が不当に原告らを再任用せず、人格的利益を侵害したから、これについての慰謝料は原告らにつき各90万円を相当とする。
本件控訴審では、第1審とほぼ同様な見解を示しつつ、慰謝料を30万円減額した。
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