同僚へのセクハラ行為に抗議して解雇
名古屋(設計事務所)女性従業員配転拒否解雇事件
(名古屋地裁平成16年4月27日判決)
<事件の概要。
原告は、「お別れ会」で泥酔した同僚女性従業員の介抱に駆けつけた際、その女性を部長が抱きかかえた状態でいたなどセクハラ行為があったとして、本社に対し然るべき対応を求めたが、会社の回答に納得できないとして労働局の雇用均等室に相談し、セクハラに関する会社の方針の明確化等を要求したところ、事情聴取もないまま大阪への転勤を打診された。
原告は業務上の必要性について説明がないことを理由に転勤を拒否していたところ、被告会社は大阪転勤か退職かの選択を迫り、原告がいずれも拒否したため、無断欠勤が14日以上に及んだとして原告を懲戒解雇した。
原告は、地位保全の仮処分申請をしたところ、第1次決定では本件配転命令は不当な動機・目的に基づくものであるとして無効であり、その拒否を理由とする本件解雇も無効とされたが、第2次決定では、本件配転命令は合理的な範囲内のものであるとして、債権者(原告)の申立てが却下されたため、原告は本件解雇の無効確認を請求した。
<判決要旨>
従業員が労働の提供を行わないことは、場合によっては懲戒解雇事由にも該当すると解されるが、他方、職場にセクハラの事実が存在し、その性質、被害の内容、被害者と加害者との関係、使用者による回復措置の有無・内容等から、将来同種の行為の反復の危険性があり、就労に性的な危険が伴うと客観的に判断される場合には、労働者は就労を拒否することができると解するのが相当である。
本件のセクハラ行為は、酪酎した女性を助け起した際に、部長が同女の両肩に−瞬両手を乗せる場面のみであり、この場面が道路上であり、周囲に原告や関係者がいたことを考慮すれば、部長の行為はセクハラと評価できるか疑問であり、仮にセクハラと評価できるとしても、同女の被る精神的苦痛、肉体的被害は軽微というべきである。
そうすると、被告が取るべき回復措置も相応のもので足り、被告が取った関係者に対する注意喚起や本件方針の策定、アンケート等の措置は、必要十分なものと評価できる。
原告は本件不出勤の前後を通じ、部長、次長とは−緒に仕事ができないとの態度を一貫させているが、15人程度の小規模事業所において、部長、次長と技術社員である原告を分離させて処遇することは困難であることなども考慮すれば、事務所の就労秩序を確保し、業務運営の円滑化を図る観点から、原告を他所で就労させることには一定の必要性が認められ、本件配転命令は有効というのが相当である。
そうすると、原告の本件不出勤は無断欠勤に該当し、その期間は命令から1か月以上に及び、再三の出勤督促にも応じなかったものであって、本件解雇は有効と認められる。
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