職場結婚を理由に退職勧奨と解雇
印刷会社職場結婚退職勧奨・解雇事件
(大阪地裁平成18年7月27日判決)
<事件の概要>
原告A(男性)及び同B(女性)は、共に各種印刷等を業とする被告にデザイナーとして入社した従業員であり、入社2年後から被告営業社員Yと対立し、Yはデザイン室へ発注せずに外注するようになった。
被告社長は原告Bに対し、業績悪化を理由に退職を勧奨し(第一次勧奨)、その後原告らは結婚して、原告Bは被告からパート勤務を求められ抑うつ状態と診断されたことから、被告に対し謝罪及び治療費の支払いを請求した。
被告は、デザイン室を閉鎖するとともに、原告らに対し退職を強く求め(第二次勧奨)、原告らはユニオンに加入して被告と団体交渉を行ったが、被告は原告らに対し一方的に解雇を通知し、解雇予告手当及び退職金を振り込んだ。
原告らは、雇用契約上の地位の確認等を求めて仮処分を申し立て、これが認容されて、職場復帰したが、賞与の減額がなされたことから、その減額分、未払いの賃金及び賞与並びに退職勧奨に対する慰謝料の支払いを請求した。
<判決要旨>
原告らは上司に対し、第一次勧奨前に結婚を報告しており、その情報は社長に入っていたと推測できるなどの事情を考え合わせると、原告らの結婚も第一次勧奨の一つの理由であったことは否定できないが、退職強要があったとまではいえない。
また、デザイン室の合理化の必要性の経緯等に照らすと、原告らに営巣活動をさせたことをもって、直ちに不法行為とまではいえない。
第二次勧奨は、デザイン室の閉鎖を宣言し、しかも営業からデザイン室への発注を停止するものであり、単に退職を勧奨しただけでなく、原告らの仕事を取り上げてしまうものである。
デザイン室を閉鎖し、しかも他への配転を検討することもなく退職を勧奨することは、退職の強要ともいうペき行為であり、その手段が著しく不相当というべきである。
また社長にこのような強硬な退職勧奨を行わせたのは、原告Bが治療費と謝罪を要求したことに激昂したことが理由と思われ、デザイン室の閉鎖の必要性があったとまではいえなかったことを総合すると、第二次勧奨は不法行為を構成するというべきである。
社長は、原告らが結婚し、同じデザイン室で勤務することについて当初から嫌悪していたことが窺われ、そのことが退職勧奨及び本件解雇の原因となっていたということができる。
以上を総合すると、社長の行為はいずれも違法であり、この間社長から原告らに射し、結婚後もデザイン室で勤務することに対する嫌悪感に基づき原告らを誹謗する言動が度々あったことが認められるから、慰謝料は原告Aにおいて50万円、原告Bにおいて80万円が相当である。
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