管理職組合加入で男女を解雇
割賦販売あっせん等会社整理解雇事件
(東京地裁平成14年7月9日判決)
<事件の概要>
割賦販売あっせん等を業とする被告会社は、合理化のため旅行事業部を廃止し、同部に所属していた女性アルバイト(原告)を配転の余地がないとして、解雇予告手当を支払った上で解雇した。
これに対し原告は、被告会社は黒字で人月整理の必要はなく、旅行事業部長甲が管理職ユニオンに加入したことを契機として原告と甲を排除するため同部を他社に譲渡して解雇したものであるから、不当労働行為に当たり無効であると主張した。
また原告は、社長(被告A)が甲と原告が男女関係にあると虚偽の噂を流し、専務(被告B)もこれを原告の問題として取り上げたこと、甲の解雇後、原告に仕事を与えず、外出を禁止し、狭隆なスペースに机を移すなど一連のいじめによって精神的苦痛を受けたことを主張し、被告らに対し慰謝料500万円を請求した。
<判決趣旨>
旅行事業部の売上額は増加しているから、仮に同部を廃止すべき必要性があったとしても、高度とまではいえない。
そして被告会社は、本件解雇の直近の期においては業績が好調であり、仮に同部を廃止したとしても、これによる余剰人員を他の部門で吸収する余地がなかったとはいえないにもかかわらず、被告会社は原告の配転可能性を検討したことはなかった。
また、被告会社が諸経費を削減するための努力をした形跡はなく、役員に対する高額の報酬の支給を続けていたことなどからすると、本件解雇を回避するための努力を十分に尽くしたとはいえない。
さらに被告会社は、原告及び労組との間で本件解雇について十分な説明・協議をしたとはいえないから、原告が時給社員で正社員と立場が異なることを考慮しても、本件解雇は解雇権の濫用として無効である。
被告らの原告に対する一連の行為は、原告を被告会社の中で孤立させ、退職させるための嫌がらせといわぎるを得ず、甲が懲戒解雇された以降はその傾向が顕著に現われている。
そして、程度の差はあれ、このような嫌がらせが長期間にわたり繰り返されたこと、被告Aと被告Bは当初からこのような事実を知りながら特段の措置を執らなかったこと、一部の行為は業務命令として行われたことからすると、これらの行為はいずれも被告A及び被告Bの指示ないしその了解に基づいて行われたものというべきであるから、同被告はそれぞれ不法行為責任を負うほか、被告会社も損害賭借責任を負う。
原告は、甲が解雇された後から食欲不振や不眠を訴えるようになり、全身にじんましんが出たこと、その後うつ病の診断を受けたこと、その後も数か月にわたり医師によるカウンセリングを受けたこと、退職を余儀なくされたことが認められ、原告の受けた精神的苦痛に対する慰謝料は150万円が相当である。
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