性的要求拒否を理由に解雇
京都(診断器製造会社)秘書退職事件
(京都地裁平成19年4月26日判決)
<事件の概要>
被告会社の社長秘書として入社した原告は、社長(被告)から日常的に「君はセックス要員として雇った」、「スケジュール管理とセックス管理が秘書の役目」などと性交渉を要求され、さらに胸、尻、大腿などを触られるなどした。
また、被告は原告と出張した際、ホテルで性交渉を要求し、「セックスできないなら用はない」などと迫った。
さらに被告は原告に対し、「君は課長、役員だ。ただしセックスが条件」などと性交渉を命令し、原告がその業務命令を断ると、「俺の寵愛を断ったらもう終わりだ」、「君を雇ったのは抱きたかったからだ」などと罵倒した。
そして、原告が恐怖を覚えて欠勤し、その翌日出勤すると、被告は「君は頭がアホや」、「性交渉しない以上用はない」などと罵倒・恫喝して退職を迫った。
原告はその直後退職したが、被告のセクハラ行為により退職を余儀なくされたとして、被告らに対し、慰謝料1,000万円、3年分の逸失利益1,000万円余、弁護士費用200万円を請求した。
一方、被告はセクハラの事実を否定して争った。
<判決要旨>
原告が被告との会話を銀音したテープによると、被告の性的要求が次第に大きくなり、だんだんと具体的に性交渉を迫るようになる状況、その時々の原告の心情等いずれも具体的で迫真性があり、不自然・
不合理な点は窺われない。
また、地位的優劣関係から、原告は被告に相当気遣いをせぎるを得ない立場であったから、業務日誌において抗議をしていないことをもって、原告の供述の信用性を左右するものではない。
以上のとおり、原告の供述には十分な信用性が認められるのに対し、被告の供述は業務日誌の内容と矛盾するなど信用することができない。
被告は原告に対し、本件セクハラ行為を業務時間中に行っており、職務として性交渉を要求し、原告がこれを拒否したことを理由として退職を強要しているから、被告会社は被告の不法行為につき、会社法350条に基づく責任を負うというべきである。
本件セクハラ発言は、原告に対し職務として性交渉を要求する内容であり、原告の人格を全面的に否定するものであって極めて悪質であること、原告の就職直後から1年2か月にわたって継続的に行われていること、最終的に原告が性交渉を拒否したことを理由として原告に退職を強要したこと等の事情に照らすと、慰謝料は300万円が相当である。
また、原告は退職後少なくとも3か月間は就労できず、その後9か月間は通常の3分の1しか就労できなかったと認められ、逸失利益は273万円、弁護士費用は57万円が相当である。
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