同僚男性の暴行による長期休業で解雇
航測会社女性従業員暴行解雇事件
(大阪地裁平成13年11月9日判決)
<事件の概要>
航空機による写真撮影を業とする被告会社に勤務する女性従業員(原告)は、平成9年3月、後輩の男性従業員(被告)に物品の注文を指示したところ、「自分でやれば良い」と言い返され、「俺は女に指図されるのは嫌いだ」等と言われて顔面を殴打された。
原告は被告の暴行後も仕事を続けたものの、顔面挫傷、頚部捻挫との診断を受け、その後も頚部、顎関節に激しい痛みを感じるなどし、欠勤を続けた。
被告会社は当面原告を出勤扱いしたが、同年7月からは貸金を支払わなくなった。
その後被告会社は原告を休職処分とし、原告が正当な理由なく職場離脱をし、長期欠勤を続けたとして,平成11年8月末日をもって原告を解雇した。
これに対し原告は、被告の暴行により長期休業を余儀なくされたとして、被告及び被告会社各自に対し、治療費等411万円余、慰謝料500万円の支払いを求めるとともに、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金の支払いを請求した。
<判決要旨>
原告の症状のうち、被告の暴行によって生じた傷害は顔面挫創と頚部捻挫に止まり、頭痛、頸部痛、めまい等については、暴行当日残業したり、翌日出張したりした経緯から見れば、頸部捻挫の治療の遅れが症状悪化につながった可能性が否定できない。
ただし、原告の症状については、当初から被告らの対応に不備感を抱き、その過程で被告が原告の神経を逆撫でする書面を送り、被告会社も事務的な対応に変わり、これらが原告の被害感情を強くしたという経過によれば、心因的なものが大きく作用しているといわぎるを得ず、その治療費のすペてを加害者の負担とすることは、損害の公平な分担という理念に沿わないが、被告が謝罪しないこと、被告会社の事務的な対応を考慮すれば、原告に生じた損害の4割を控除し、慰謝料60万円を相当とする。
被告の原告に対する暴行は業務に起因したものであるから、被告会社は被告と連帯して原告に対する損害賭博の責めを負う。
上司らが、当初原告の病状を気遣い出勤抜いすると述べたとしても、出勤抜いにする期間は1、2か月を想定したというのを相当とするから、原告の平成9年7月以降の賃金請求は理由がない。
原告の欠勤は、被告会社の従業員の暴行に原因するもので、被告会社にも責任があり、治癒をまって復職させるのが原則であって、治癒の見込み、復職の可能性等を検討せず直ちに解雇することは信義に反し、本件解雇は無効であるが、原告の貸金請求権は謎めることはできない。
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