退職勧奨拒否で降級と給与削減
米国法人広告代理店降格事件
(第1審 東京地裁平成18年10月25日判決)
(控訴審 東京高裁平成19年2月22日半叫決)
<事件の概要>
米国法人と日本法人との共同出資で設立された広告代理店(被告)は、2001年に新賃金制度を導入し、7級から9級の者を年俸制の管理職とした。
被告は親会社から人員削減の指示を受けて原告を含む8名を退職勧奨したが、原告ら7名がこれを拒否したため、副社長は原告に対し、「この先給料が上がると思うな、這いつくばって生きていけ」などと叱責した。
人事評価は−3〜+3の7段階で行われていたところ、原告の2001年の評価は−1で、原告はこれに異議を留めずにいたところ、2002年の評価が−2となったことから、被告は2003年度以降、原告を7級から6級に降級し、これに伴い基本給を3割強減額した。
これに対し原告は、2は不当に低い評価であり、本件降級処分は裁量権を逸脱して無効であると主張し、7級としての給与の支払いを求めた。
<第1審判決要旨>
−1の評価を2年連続で受けた者及び−2の評価を当苦衷年度で受けた者という降級基準は、「著しい能力の低下・漉過」の1つのメルクマールと捉えるのが相当であり、本件降級処分が有効か否かを判断するにあたっては、2002年度の原告に著しい能力の低下・減退が見られたか否かを検討すれば長いことになる。
被告は、原告が、@業務部をまとめるリーダーシップがなかったこと、A業務鰍こ所属する社鄭こ対する管理業務をしていないこと、B業務部長、本部長、各局のリーダー等とのコミュニケーションが不足していたこと、C業務改善や工夫を積極的に行わなかったこと、D緊急時の対応に柔軟性がなく段取りができないこと、E部における冬作業の効率化及びCM考査の交渉をしなかったことを挙げて、本件降格処分の正当性を主張ずる。
しかしながら、原告は、部下とのコミュニケーションを図るよう努力し、リーダーシップに欠ける証拠はないこと、作業の正確性を確保するために部下を管理・監督していたこと、送稿業務を通常どおり遂行していたこと、校正をよりスムーズにかつ頻繁に行う改善策を提案し、送稿時間の短縮や配送ミス等の減少も認められるなどしたこと、部下がトラブルやミスをした場合、その問題解決に機敏に対応したこと、定期パイク健の増故などの提案、20件程度のCM考査を行っできたことからすれば、被告の主張は理由がない。
以上によれば、原告の2002年度の勤務ぶりは通常であるから、本件降級処分は権限の裁量の範囲を逸脱したものとしで無効と解され、原告は依然として7級の地位にあると認めるのが相当である。
本件は被告から控訴されたが、原審と同様の理由により棄却された。
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