後日の会話から強姦未遂と認定
東京(設備会社)強姦未遂事件
(東京地裁平成12年3月10日判決)
<事件の概要>
被告会社の社長(被告)は、女性従業員(原告)に対し、日頃から卑猥な話をしたり、浮気を迫ったりしており、事務所で飲酒した際、ドアに施錠し、原告を突然羽交い締めにして、胸を掴み、あごを殴打し、スカートの中に手を入れるなどした。
原告は逃げ、被告はこれを追いかけて、「1度でいいから1発」などと迫ったが、原告は何とか難を免れた。
被告会社は、その後原告が経理情報を不法に流し、強姦未遂など虚偽の事実をでっち上げたことなどを理由として原告を解雇した。
これに対し原告は、本件解雇は不当解雇であり、被告の一連の行為により多大な精神的苦痛を被ったとして慰謝料300万円等総額490万円余を請求した。
一方被告らは、原告は労政事務所に強姦未遂など虚偽の申告をし、被告らを誹誇中傷するビラを配布するなどして名誉を毀損したとして、被告各自に300万円の損害賠償を支払うよう請求した。
<判決要旨>
被告による性的嫌がらせについての原告の陳述が具体的であること、短期間にこれだけ多数の事実を捏造したとは考え難いこと等からすると、原告主張の各事実は認められる。
労政事務所の助言を得て事件後に録音した原告と被告との会話では、被告は有効な反論を全くしておらず、謝罪と見られる発言までしている。
この会話の原告の発言を繋ぎ合せれば、ほぼ請求原因の事案と一致し、前後の矛盾等は見られない。
このように前後矛盾等が見られないということは、そのような事案が実際にあったれ原告が入念にストーリーを頭に入れて会話に臨んだかのいずれかと考えられるが、虚偽の場合、むしろ原告が著しく不利な立場に置かれる危険が大きいのであるから、強姦未遂の事実があったと認められる。
被告による性的嫌がらせは長期間にわたり執拗に行われたものであること、強姦未遂は事務所内で行われ、原告に落度がないこと、原告は被告の不法行為により心的外傷ストレス障害となり、3年を経過した時点でもなお治療を継続中であることからすれば、慰謝料は180万円が相当である。
また、原告(解雇当時47歳)の再就職は容易ではなく、解雇後9か月間の得べかりし賃金が不当解雇による損害と認めるのが相当であるから、失業保険で得た額を控除した91万円余を原告の損害と認めることができ、弁護士費用は30万円が相当である(被告らの反訴については棄却)。
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