育児休業明けに配転と降格と減給

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育児休業明けに配転と降格と減給

ゲームソフト製造等会社育児休業後配転事件

(東京地裁平成23年3月17日判決)

<事件の概要>

ゲームソフト等の製造販売を業とする被告においてゲームに関する海外ライセンス業務に従事していた原告は、平成20年7月16日から産前休業に入り、平成21年4月15日まで育児休業を取得した後に復職した。

原告は育児短時間勤務の措置を申し出、企画裁量労働の適用を排除されて国内ライセンス業務に担務が変更され、それに伴って役割グレードを従来の「B−1」(Bクラス中最低)から「A−9」(Aクラス中の2番目)に引き下げられた。

被告は、平成20年4月から産休に入るまでの間に見るべき成果を上げていないこと、産休のため繁忙期を経験していないことなどを考慮して平成20年度の原告の成果報酬をゼロと査定し、年俸額を前年度の640万円から520万円に引き下げた。

原告は、役割グレードの引下げは、産休・育休を理由とする不利益取扱いを禁止する男女雇用機会均等法に違反する可能性があるとして再考を求めたところ、被告は役割グレードの変更は担務変更に伴うものであり、海外サッカーライセンス業務の大変さを考慮して負荷の少ない国内ライセンス業務に担当換えした旨説明したが、原告は納得しなかった。

原告は、一連の人事措置は、育児休業を取得した女性に対する差別ないし偏見に基づくものであって、人事権の濫用に当たるほか、憲法、労働基準法、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、民法、女性差別撤廃条約に違反し無効であるとして、被告に対し、@降格・減給前後の給与差額158万円余、A慰謝料、弁護士費用3,300万円、B人権侵害等に対する謝罪、C就業規則の改定を求めた。

(1)本件担務変更について

原告が本件育休前に担当していた海タけッカーライセンス業務は、マネージャーらに引き継がれたところ、特段の支障等があったことを窺わせる事実関係は認められない。

加えて、被告は海タけッカーライセンス業務に係る重要なライセンサーから担当者の頻繁な交替について、クレームを受けていたことからすると、本件復職時に改めて原告を同業務に就けることについては、ライセンサーとの関係維持の観点から困難な状況にあったといえる。

また原告は復職に際して育児短時間を勤務の措置を求めていたことからすると、原告を海外ライセンス業務に戻すことは、業務遂行の観点からも困難な状況にあったといえる。

育児・介護休業法の解釈運用方針として発出している指針において、労働者が育児休業等を取得したこととの間に因果関係がある解雇、降格、配転等は同法10条の不利益取扱いに当たるとしているが、本件担務変更の背景、内容等に照らすと、原告が育休等を取得したことを理由としてなされたものと解することはできない。

指針では、原職相当職と評価されるためには、@休職後の職制上の地位が休業前より下図らないこと、A休業の前後で職務内容が異なっていないこと、B林業の前後で勤務する事業所が同−であることのいずれにも該当することが必要であるとしている。

しかしながら、同法22条は努力義務と解され、原職又は原職相当職に復帰させなければ直ちに同条違反になるとは解されない。

そして、本件復職に当たり原告を就かせることができる最善の業務が国内ライセンス業務であったという事情の下では、本件担務変更が同条に抵触する違法なものと断ずることはできない。

また、雇用機会均等法9条3項に定める不利益取扱い禁止に関してみると、本件担務変更が原告において育児休業を取得したことを理由としてされたものと解することはできない。

以上によれば、本件担務変更に不合理な点は見出せない。

(2)本件役割グレード引下げ措置について

本件人事制度及び報酬体系は成果主義の考え方を取り入れた制度であって、不合理とする特段の事情は認められない。

原告の役割グレードは「B−1」から「A−9」に引き下げられたが、両者との間にはそれほど大きな隔たりがあるものではないと解される。

そして、原告は海外ライセンス業務従事者として平均的なレベルにあり、グループリーダー担当職としての実績は「B−1」の中で優等なものであったとはにわかに認め難い。

そして、本件担務変更は業務上の必要性に基づくものであることを踏まえると、本件担務変更に伴うグレード引下げ措置は、本件人事制度に適応した措置ということができ、その内容自体不合理なものとはいえない。

(3)本件年俸減額措置について

年俸のうち役割報酬は役割グレードと連動したものであるところ、本件担務変更及び本件役割グレード引下げ措置は、いずれも被告の人事権の範囲内で行使されたものと認められる。

加えて、従前年俸中の役割報酬と新年備中のそれとの差額は58万円であり、他方で新年俸額には調整報酬20万円が支給され、相応の減額緩和措置になっていると評価し得るから、本件役割報酬額減額について人事権の濫用があるとまではいえない。

本件成果報酬ゼロ査定の理由は、原告が産休に入るまでの間に見るペき成果を上げていないことや産休後に迎えた繁忙期を経験していないことなどを考慮した結果というものである。

しかし、原告は本件産休を取得するまでの約3か月間は−定の業務案練を上げており、また原告の業務を引き継いだマネージャーらは原告の実績を利用し又は踏まえて残りの業務を待ったということができ、本件成果報酬ゼロ査定にはこの点が考慮されていない。

以上の点から、本件ゼロ査定は、成果報酬の査定に係る裁量権を濫用したものと認めるのが相当である。

(4)不法行為の存否及び損害額

被告の行った措置のうち裁量権を濫用したと認められるのは本件成果報酬ゼロ査定だけであり、この不支給は違法行為に当たり、被告は上記不支給により原告が被った精神的損害につき、慰謝料30万円、弁護士費用5万円の賭傍義務がある。


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