職場ぐるみのいじめで自殺
川崎市水道局職員自殺事件
(第1審 横浜地裁川崎支部平成14年6月27日判決)
(控訴審 東京高裁平成15年3月25日判決)
<事件の概要>
甲は昭和63年4月に被告市職員に採用され、平成7年5月に工業用水課に配属された。
被告市では、過去に工業用水道敷設替工事施工のため、甲の父に土地の貸与を申し入れたが拒否され、工事費が増大するということがあった。
甲は同課に配属されて以降、課長(被告A)、係長(被告B)及び主査(被告C)から、「何であんなのが来たんだ」との発言や、「むくみ麻原」など太っていることへの椰捻や猥雑なからかいを受けるようになり、職場旅行の際には、被告Cからナイフで脅されるなどした。
甲は同年11月噴からほとんど出勤できなくなり、平成8年4月に元の職場に戻ったが、自殺を繰り返し図った後、平成9年3月、被告らを恨む旨の遺書を残して自殺した。
甲の両親(原告)は、甲の自殺は被告らによるいじめ原因であるとして、被告ら3名及び被告市に対し、各6,424万円余の損害賠償を請求した。
<第1審判決要旨>
いじめによっで心理的苦痛を蓄積した者が1何らかの精神的疾患を発症することは社会通念上認められ、自殺念慮の出現性は高いとされており、甲には他に自殺を図るような原因がうかがわれないことを併せ考えると、甲がいじめを受けたことと、心因反応を起こし自殺したこととの間には事実上の因果関係が認められる。
被告Aは、被告C及び岡Bによるいじめに同調し、調査を命じられてもいじめを否定する態度をとり続けた。
また、甲から訴えを受けた職員課長は、速やかな調査及び善後策を怠り、その結果甲が自殺に至ったものであるから、被告A及び職員課長は甲に対する安全配慮義務を怠ったというペきである。
加えて、被告A及び職員課長は、甲が場合によっては自殺するおそれがあることを予見できたから、その安全配慮義務違反と甲の自殺との間には相当因果関係を認めるのが相当であって、被告市は国家賠償法上の責任を負う。
甲は、定年までの30年間順次昇給した給与を受けることができたから、逸失利益は4,468万円余、退職手当は217方円余となり、慰謝料はそれぞれ1,200万円とするのが相当であるが、甲の自殺は本人の資質ないし心因的要因も加わったものと認められるから、上記損害額の7割を減額するのが相当である。
本件は原告及び被告双方が控訴したが、いずれも棄却された。
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