二重派遣の禁止とは
二重派遣とは、たとえば、労働者Aを派遣元Bから派遣先Cに正当に派遣していたところ、労働者Aを受け入れた派遣先Cが、その労働者Aを自らの下において労務の提供をさせることなく、さらに別の事業主Dに業として再派遣するようなケースを指します。
派遣法で認める労働者派遣は、「自己の雇用する労働者」を派遣するのであって、このケースの場合、再派遣を行ったCは新たな派遣元となりますが、直接当該労働者を雇用して派遣しているわけではありません。
この形態は、労働者供給を業として行うものに該当し、職安法44条の規定(労働者供給事業の禁止)違反となります。
このように二重派遣が禁止されるのは、前述したようにわが国においては伝統的に業務委託の際に委託、請負の下請という間接雇用が横行し、賃金が中間搾取されたり、タコ部屋などの言葉に代表される人権侵害が多く行われたからです。
これは雇用主としての責任逃れであり、あるいは、実態として自らの事業として、直接労働者を指揮命令し、管理監督し、業務を遂行しているにもかかわらず、自らは単なる発注者として管理監督を逃れようとする偽装請負の発生などが想定されることによる。後者の偽装請負のケースでは、仮に労災事故が生じても、事業者としてその責任を負わないことなどの温床化が懸念されます。
このような悪辣な労働環境を防止して、労働者を保護する立場から二重派遣は禁止されています。
二重派遣を行った場合の罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(職安法64条9項)ですが、二重派遣を行った例では、当初の派遣先のCのみならず、Cから労働者を受け入れた再派遣先Dに対しても労働者供給業にかかわったとして処罰が科されます(職安法44条違反)。
これに対し、次のような場合は、二重派遣とされず、法律上禁止されていません。
@派遣元にたいし派遣先を、派遣先に対して派遣元をそれぞれあっせんし、両者間で労働者派遣契約の締結を促し、援助する行為
A派遣元のために、当該派遣元が締結した労働者派遣契約の履行について、派遣先との間で、保証その他履行を担保するための種々の契約等の締結を行うこと
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