派遣期間中の就業場所の変更
派遣受入れ中の労働者を、派遣先の他の事業所に就業場所を変更し就業させること、すなわち配置替え(配置転換)は、たとえ業務の範囲(作業)が同一であるとしてもしてはいけません。
その理由は、基本的には次の法律的関係によります。
@派遣元と派遣労働者間では派遣先において就業する内容の労働契約が締結されていること
A派遣元は派遣先との間で締結している派遣契約に基づいて労働者を派遣先に派遣していること
B派遣先においては、その派遣労働者を指揮命令下に置き、契約した業務に就業させていること
派遣労働者の就業の場所は、派遣契約により、派遣元と派遣先との間の合意内容になっており、労働者派遣に際し、派遣労働者にあらかじめ明示されています(法26条1項二号、34条)。
派遣先が派遣契約を変更することなく就業場所を変えることは、この派遣契約違反となり、派遣元は派遣契約を合法的に解約できます。
派遣先が配置転換を行うのであれば、派遣元との合意に基づき派遣契約を変更し、派遣元において派遣労働者に変更の旨を指示して可能になります。
一方、派遣元は法律的に派遣労働者の雇用主であるから所定の要件を満たしている場合は、派遣労働者の個別の同意を得ること,なく就業場所を変更することが可能です。
すなわち、就業規則等に配置転換をさせる旨の明確な規定が設けてあれば、一般的に労働者と包括的な合意があるとされています。
また、派遣労働者にも派遣元における就業規則の定めが適用されるから、その就業規則に就業場所の変更ありとの定めをしていれば、派遣労働者の個別合意を得ることなしに変更の指示ができます。
ただしこの場合は、派遣労働者との間で勤務地限定などの特約がないときに限られます。
出張や外訪活動は、派遣先の事業場を場所的に離れての就業となることから、就業場所が変わるという点では配置転換に類似するため、派遣労働者は出張や外訪活動もできないのかという疑問が生じます。
出張・外訪は、就業場所が変わるというよりは、派遣労働者の業務範囲の範疇として含まれているのか否かで判断することとなり、その定めが派遣契約上、明示されているか否かで決まります。
通常、出張はある主業務に付随して発生するものであり、外訪活動は訪問販売などの場合は、業務の主流をなすものです。
したがって、出張・外訪活動をさせることが予測されるのであれば、あらかじめ派遣契約に定めて、業務範囲として明確にしておくべきです。
派遣契約に業務範囲として出張・外訪活動が含まれ、そのことが明示されている場合には、当然命じることは可能です。
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