派遣先の就業条件の確認と遵守
派遣元は、労働者派遣を行うに際し、就業条件を派遣労働者に明示しなければなりません(法34条)。
就業条件を書面化した明示書には、原則的に労働者派遣契約と同一事項が記載されます。
すなわち、派遣法26条1項各弓に掲げる事項と同一ということになります。
ここで同一事項を記載するとは、全く同一ということではなく、派遣契約の枠内で就業条件を決定すべきということを意味します。
したがって派遣契約では期間1年としていても就業条件の明示では、3か月など短く設定することも可能ですが、その逆は、契約内容違反となります。
就業条件明示書は派遣元が作成し、派遣労働者に対し明示すべきものですから、実務上、労働契約(雇用契約)書と一体化して作成することも行われています。
労働者派遣は、派遣元の労働者を派遣先で使用するため、実際の就業面では派遣契約の取決めに一致していなかったり、派遣期間にあいまいさがあったりすることもあり、これがトラブルの発生原因となることもあります。
一方、派遣先においては、就業条件の遵守を目的に、派遣先が講ずる措置として、就業条件の確認やその確保のための具体的施策が、かなりのウエートを持たせ「派遣先指針」において示されています。
派遣先指針が示す施策は、次の通りです(同第2の1、2、5)。
@派遣先は、労働者派遣契約の申込みを行うに際し、派遣労働者を直接指揮命令する者から業務内容、業務遂行上必要な知識、技術、経験水準その他派遣契約の締結に際し、定めるべき就業条件を十分確認しておく。
A派遣先では、指揮命令者やその他関係者等に就業条件記載の書面を配布し、または就業場所に掲示するなどして就業条件の周知を徹底する。
B就業場所を定期的に巡回し、派遣労働者の就業状況が派遣契約に反していないことを確認する。
C指揮命令者から定期的に派遣労働者の就業状況について報告を求める。
D派遣契約の内容の遵守に係る指導として、指揮命令者に派遣契約の内容に違反することとなる業務上の指示を行わないようにする等、指導を徹底する。
E派遣先が派遣契約違反事実を知り得た場合は、これを早急に是正し、その定めに反する行為を行った者および派遣先責任者に対し派遣契約を遵守させる必要措置を講じます。
このような派遣労働者に対する労働条件あるいは就業条件は派遣元と派遣先との間で交わした派遣労働契約書によることになっていて、派遣先の就業規則は適用の対象外となります。
派遣先の就業規則の基準が派遣契約書記載の基準を上回っていることがあっても就業規則が優先されることはありません。
なお、一定規模の派遣元で派遣労働者を含めて就業規則を作成し、労基署に届け出ることが義務付けられています。
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