社会・労働保険未加入の派遣労働者
労働者派遣は、原則として一時的・臨時的就業形態と位置付けられていますが、派遣労働者であっても要件を満たせば社会保険・労働保険制度に当然に加入しなければならないことになっていて、加入手続きは雇用関係のある派遣元で行うことになっています。
しかし、強制的な保険制度でありながら、現実の問題として、派遣契約が切れるたびに保険(協会けんぽ、国民健康保険)への加入と喪失を繰り返す必要があり、この切替手続きが煩わしいとか派遣労働者白身が自己負担の保険料を支払いたくないなどの理由のため、国民健康保険や国民年金保険に加入し続ける(極端な場合にはいずれの保険にも未加入のまま)労働者が少なからずいるのも現実です。
また、派遣元の中には、保険料の負担を少しでも軽減しようとする意図も働き、社会保険・労働保険の加入要件を満たさない派遣契約に抑える傾向も見受けられます。
そこで、労働者派遣契約の締結に際しては、派遣元は派遣先に対して、保険の資格取得に関する確認を派遣労働契約書などにより通知しなければならないことになっています(法35条1項三号)。
また、派遣元指針でも、労働者派遣を行う際は、派遣労働者を社会保険・労働保険に加入させてから行うこと、加入していない場合にはその具体的な理由を派遣先および派遣労働者に通知することとされています(派遣元指針第2の4)。
社会保険・労働保険の加入手続きは使用者である派遣元がすることになっていて、派遣先には義務はありません。
たとえ、未加入の派遣労働者であっても派遣先が加入手続きを代行することはできないしその義務もありません。
また、派遣元の保険料納付状況を確認することまでは求められていません。
しかし、社会保険等に未加入のままだと、加入に消極的な派遣労働者は別にして、多くの労働者は不利益を被ることになります。
そこで、加人義務があるにもかかわらず未加入の派遣労働者を受け入れたときには、派遣先は、その押由が適正でないと考えられる場合には、これを是正するために派遣元に対して必要な保険に加入させてから派遣することを求めることになっています(派遣先指針第2の6)。
社会保険・労働保険の保険料の納付責任も派遣元にあるため、たとえ派遣元が納付しなかった事実があったとしても派遣労働者や派遣先に転嫁されることはありません。
なお、何らかの理由で派遣労働者の加入手続きが遅れている間は、「手続き中」という連絡でもよいとされていますが、派遣元からの通知にはこのような記述があっても、実態としては手続きが進行していないことも見られます。
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