派遣で労働組合の設立加入
派遣労働者にも通常の労働者と同様、労働組合をつくること、労働組合に加入すること、労働組合が使用者と団体交渉を行うこと、ストライキを行う権利が憲法で保障されています(憲法28条)。
しかしながら、派遣労働者は一時的・臨時的な派遣期間内の就業であることに加え、労働契約は派遣元と結び、就業する場所は派遣先であるという派遣労働者の特性は、組合設立にとって障害となります。
また、組合が設立されたとしても団体交渉の申込みは派遣元にするのか派遣先にするのか等の問題もあります。
したがって、実際問題として、派遣労働者のみで労働組合を設立することはかなり難しいと考えられます。
派遣先にも団体交渉の応諾義務が労働組合には、労働3権(団結権、団体交渉権、争議権)が保障されていて、使用者には団体交渉を正当な理由なく拒んではならないことになっています。
労働者派遣にあっては、団体交渉に応諾する使用者は、原則として派遣労働者と労働契約を結んでいる派遣元です。
派遣先は原則として団体交渉義務は負いません。
ところが、派遣労働者の日常的な労働条件に関する改善要求の発生源の大部分は派遣先においてです。
そこで派遣法44条、45条では、労基法と安衛法の使用者責任に関する特例が定められており、この規定に関連する部分については、派遣先が労働組合法の事業主として団体交渉にかかわることになります(最判平7.2.28 朝日放送事件)。
派遣先が労働組合の団体交渉に正当な理由がなく応じない、あるいは応じても誠実に交渉に当たらない、合意していても協定書への調印を拒むなどの団体交渉拒否行為は、不当労働行為として禁止されています(労働組合法7条二号)。
派遣元で組織されている労働組合があれば、派遣労働者がその労働組合の承認を得て加入することは自由であり、法律上は可能です。
しかし、派遣労働者は、雇用関係は、労働契約を派遣元と結んでおり、就業する場所は派遣先であることの二元性から、組合員範囲が規約で制限されている場合は、加入が認められない場合もあり得ます。
人種、宗教、性別、門地、身分によって組合員の資格を排他的扱いにする差別は労働組合法5条2項四号で禁じられているが、それら以外の理由で加入制限を設けたりすることまで労働組合の種類は制限していません。
以上を総合的に判断すると、現実的には派遣元、派遣先の組合に加入するのは容易ではありません。
特に、登録型派遣の場合などは1人の労働者が複数の派遣元に登録していたりしていて、一つの派遣元(派遣会社)に対する帰属意識も弱く、事実上既存組合への加入は不可能といえます。
これに比べ、合同労働組合は一定の地域において、業種・職種の枠を越えて組織されているので、その組合への加入は雇用形態も問わず誰でもでき、障害となるものが少なく、派遣労働者にとってかなり加入しやすいと考えられます。
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