派遣労働者の苦情の複雑化
労働者派遣から出る苦情には、その派遣契約上従事する業務と実際に従事する業務との相違、職場における人間関係、仕事のミスマッチなどが多いのですが、その苦情内容は複雑化の傾向にあります。
苦情の原因は、派遣先、派遣元にある場合もあれば、派遣労働者自身にある場合もあり、その双方にある場合も考えられます。
苦情をいかに適切かつ迅速に処理・解決できるかは、これら三者の置かれた立場によってそれぞれに重要性を持つが、全体的には派遣労働者の従事する業務とも密接に関係し、事業場の安全衛生を確保する面でも重要になります。
派遣法では、派遣元責任者および派遣先責任者が苦情の処理に当たるものと規定しています(法36条、41条)。
派遣労働者からの苦情を迅速・適切に処理するために、派遣元と派遣先においては、あらかじめ派遣労働者からの申し出を受け付ける者、苦情処理を行う方法、派遣元・派遣先間の連絡体制等につき労働者派遣契約で定めをしなければなりません(法26条1項七号、派遣元指針第2の3、派遣先指針第2の7)。
さらに派遣先指針では、派遣労働者の受け入れに当たり、説明会等を開催し、苦情処理の方法等について派遣労働者に説明するものとしています。
一方、派遣元では、派遣に先立ち、派遣労働者に交付する就業条件明示書において、上記苦情処理に関する内容を明らかにしておかなければなりません(法26条1項七号)。
派遣労働者は苦情の申し出を派遣先責任者または派遣元責任者に必ずするとは限らず、営業担当者などに申し出るようなケースもあり得ます。
そこで苦情の迅速処理のためにも、派遣労働者が前述の内容に通じ事前に苦情処理担当者の氏名を確認できる状態にあることが要請されます。
そして派遣先責任者・派遣元責任者は、苦情処理に備え、日頃から自社内における密接な情報網の活用に心掛け、両者相互間にあっては密接な連絡体制の構築を図る必要があります。
苦情処理担当者としては、次のような見識を持って職務を遂行することが望まれます。
@苦情を誠実に受理し、公平・迅速で透明な解決を図る
A十分なヒヤリング・助言を行うために事実確認の調査を行う
B苦情申出者のプライバシーの保護に配慮する
C苦情事例を踏襲し、再発防止策を講じる
派遣先は、苦情の申し出を受けたときは、その年月日、苦情の内容および苦情の処理状況等について、派遣先管理台帳に記載し、その内容を派遣元に通知しなければなりません(法42条)。
派遣元でも同じく派遣元管理台帳に同様の記載をしなければなりません(法37条)。
また、派遣労働者が派遣先や派遣元に苦情を申し出たことを理由に、不利益な取扱いを行うことは認められません(派遣元指針第2の3、派遣先指針第2の7)。
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