労働者派遣契約を中途解除
派遣法は、派遣先が派遣労働者を不当に差別する次のような事由をもって労働者派遣契約を解除することを禁じています。
@派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分を事由とするもの(法27条)
A結婚・妊娠・出産を事由とするもの(法27条)
B育児休業・介護休業を請求したことを事由とするもの(法27条)
C会社の法違反を行政機関に通報したことを事由にするもの(法49条の3、公益法4条)
D労働組合に加入したこと、組合活動をしたことを事由とするもの(法27条)
派遣先が派遣元の責務において契約解除できる例としては、派遣労働者が社内機密情報を漏らしたり、無断欠勤を繰り返すような懲戒処分に該当する不法行為をした場合や処理能力不足等により契約不履行を理由とするものなどがあります。
これらの場合は、まずは派遣元との労働者派遣契約の取決めにより、派遣労働者の交代などを求め、それでもなお解決が図られないとき、派遣先と派遣元と両事業主の合意の上での契約解除となります。
派遣先が、労働者派遣契約の中途解約(いわゆる派遣切り)をしようとするときは、派遣元の合意を得ることはもとより、相当の猶予期間をもって派遣元に解除の申入れを行わなければなりません(派遣先指針第2の6(2))。
専ら派遣先に起因する事由としては、たとえば派遣期間中に受注減より業績不振に陥ったり、あるいは資材の確保ができず長期間休業する場合などが考えられます。
このようなケースで派遣先が派遣労働者を余儀なく休業させる場合には、休業手当の支払いなど損害賠償の責めを負います(派遣先指針第2の6(4))。
労働者派遣契約の期間満了前に中途解約を行おうとするときは、たとえば、派遣元に対し相当の猶予期間をもって解除を予告するか、予告をしない場合は、派遣労働者の30日分以上の平均賃金相当額を損害賠償として派遣元に支払わなければなりません。
予告の日が30日に満たない場合は、30日から差し引いた日数分の平均賃金相当額を支払うなどが考えられます(派遣先指針2の6(4))。
また派遣先は、派遣元の請求により、解除の理由を派遣元に対し明らかにしなければなりません(派遣先指針第2の6(5))。
派遣先と派遣元との労働者派遣契約が中途解約された場合であっても、派遣元と派遣労働者との労働契約はそのまま継続します。
派遣元にあっては新たな派遣先を確保するように努めるとともに、派遣先においても新たな就業機会を確保したり、派遣元が当該労働者に支払う休業手当の費用を負担するなど、雇用安定化のため必要な措置を講じなければなりません(法26条1項八号、29条の2、派遣先指針第2の6(3))。
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