グループ内企業への派遣
派遣元が特定の派遣先に限って派遣労働者を派遣することは、「専ら派遣」として派遣法で禁止しています。
この専ら派遣に該当するか否かの判断基準の内容は具体性に欠け、たとえば、グループ企業への派遣がすべてであったとしても、グループ外企業の派遣先を確保するための努力をしていたり、特定の派遣先以外からの派遣依頼を受けても派遣労働者数が不足しているなどの理由でもって派遣依頼を拒否しても、正当な理由とみなされて専ら派遣には当たらないと考えられてきました。
つまり、専ら派遣にならないような努力がなされていれば、その結果が成就されなくても違法とはされませんでした。
このため、グループ企業で派遣会社を作り、そこから派遣労働者を受け入れることにより、業務の繁閑にあわせて柔軟に対応し、余剰人員を抱えることなく、整理解雇に踏み切るようなリスク回避も見受けられました。
しかし、これは派遣法の本来的な立法趣旨に反するものです。
これを是正するため、グループ内企業への総派遣労働時間8割以下の規制(法23条の2)と離職労働者を離職後1年間、当該企業を派遣先とする派遣禁l上条項(法40条の6)が平成24年の法改正で設けられました。
派遣法23条の2では、派遣元のグループ企業に労働者を派遣できる割合を1事業年度における総派遣労働時間の8割以下に制限することを規定しています。
この対象となるグループ企業とは、以下のような企業を指します。
@連結決算を採用している場合、連結決算は親会社、子会社別に決算するのではなく、子会社を含めた企業グループを1つの企業として会計処理する子会社(連結子会社)と親会社。
子会社には親会社の支配力が認められます。
A連結決算を採用していない場合、親会社(派遣先)とは「議決権の過半数」を所有しているもの、または「資本金の過半数」を出資しているものが該当します(則18条の3第2項)。
子会社(派遣元)は、親会社の議決権または資本出資上劣後し、受動的立場にあります。
また、派遣割合の値は、下記分数式で算出された割合が80%以下であることを要します。
この場合に、分子の総労働時間からは60歳以上の定年退職者分は除かれます(則18条の3第4項)。
関係派遣先に係る派遣就業に係る総労働時間÷派遣元が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間×100
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