派遣中の労働者の交代
たとえば派遣元から経験豊富で有能な労働者との触れ込みで派遣されてきた労働者が、派遣先でいざ実際に就業させてみると、作業が遅いために時間外労働になることがしばしばあるような場合、派遣先としては派遣元に抗議をし、代替要員の派遣を要求したいところです。
派遣元にすればことは重大です。
まず作業が遅いとは何を基準にしているかが明確ではないし、派遣先での指揮命令者としての上司の指示がどの程度なされていたかも問題になります。
遅延する原因が何だったかの究明も必要であり、派遣先の言い分をもって即断できません。
派遣先からのこの種のクレームの対応としては、派遣元はその派遣労働者について能力不足の実態を調査するなどの措置をとらなければなりません。
また、日常から派遣労働者の就業場所を定期的に巡回するなどして、派遣労働者の就業状況が労働者派遣契約に反していないかの確認は欠かせません(法31条)。
そしてそれらの結果を踏まえ総合的な判断に基づき、代わりの労働者を派遣するなどしなければなりません。
派遣元での対応が遅れたり、派遣元との合意が得られない場合には、派遣元が適切に業務を行えない労働者を派遣したことによる債務の不完全履行としての損害賠償の責任を追及するケースに発展することも想定されます。
派遣労働者が頻繁に無届欠勤をするなど懲戒処分相当行為を繰り返し、そのために派遣先に損害を与えたような場合も同様です。
派遣先の申立てで行われる派遣契約の中途解約は、派遣先と派遣元との兼ね合いで解決ができない場合は、派遣先としては派遣元の責任(使用者責任)に基づく契約違反を問うことになります。
すなわち、派遣先としては、民法540条〜543条により契約の不完全履行を理由に労働者派遣契約を解除して、派遣元が代替労働者を確保できない場合には、損害賠償の請求等も可能となります。
しかしながら、労働者派遣契約も一種の商取引ですから、即座に一方的な契約解除に持ち込まず、その解消を避ける努力をすべきです。
派遣契約の解消は、協議を重ねた上での最後の手段としての処置です。
労働者派遣契約の期限到来前に派遣労働者にやむを得ぬ事情(夫の転勤に伴う転居で通勤が不能など)が生じ、退職を申し出た場合などであっても派遣途中での派遣契約の解除となり、派遣契約違反になります。
このような場合は、最初に派遣労働者の申し出を受けた派遣元でアクションを起こし、派遣先と協議することになりますが、派遣元ではその代替者を派遣するなどの対応措置が必要になります。
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