派遣労働者の安全管理体制
安衛法は、職場における労働者の安全と健康を確保することを目的にした法律であり、派遣労働者については原則として派遣元が雇用主として責任を負うことになっています。
しかし、労働災害の防止等を組織的・効果的に実施し、労働者の健康を保持増進するには、業務遂行上、指揮命令権を有し、作業環境の要素となる設備・資材等の管理運営に当たる派遣先の協力が不可欠となります。
そのため派遣法においては、労基法同様、適用に関する特例(法45条)により、派遣先が一部責任を負うものがあります。
安全管理体制においては派遣先に、衛生管理体制においては原則として労働者の就業の場における具体的な面は派遣先に、一般的な健康管理は派遣元にその義務を課しています。
安衛法では、安全衛生管理体制の運営を統括する最高責任者として、総括安全衛生管理者の選任を企業規模に応じて定めています(安衛法10条)。
この総括安全衛生管理者の選任は、派遣先と派遣元でそれぞれの企業規模・業種基準に応じて行うことになっています。
したがって、事業の規模を判断するときは、派遣労働者はその事業に使用される労働者として派遣先と派遣元の双方において重複して員数に含まれることになります。
安全衛生管理体制を支え推進するスタッフとして、安衛法は安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者等を業種と事業規模に応じて選任することを義務付けています。
安全管理者は、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止措置などを行う者で、派遣先の労働者数が常時50人以上の所定の業種において選任しなければなりません(安衛法11条)。
派遣元には選任は義務付けられていません。
衛生管理者は、業種には関係なく常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、事業規模に応じて選任しなければなりません。
労働者派遣にあっては派遣先と派遣元の双方の事業主に選任が義務付けられています。
つまり、派遣先においての貝体的な衛生管理は指揮命令権者である派遣先が、一般的な健康管理は雇用主である派遣元がその責務を負うことになります。
なお、衛生管理者は原則としてその事業場に専属の者でなければならないので、派遣中の労働者を派遣先において衛生管理者として選任することはできません。
衛生管理者の貝体的職務は、健康診断など労働者の健康管理に関する事項、作業環境・作業条件・施設等の衛生上の改善、労働衛生教育の実施、健康相談などです。
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