特定派遣先の専ら派遣の禁止
特定の派遣先に限って派遣することを「専ら派遣」といい、派遣法では、「専ら派遣」(特定の派遣先が一つであると複数であるとを問わない)を禁止しています(法7条1項一号)。
「専ら派遣」の形態として、人件費削減のため、一部企業では労働者派遣のための子会社を設立し、この子会社が派遣元になって、親会社を派遣先にして労働者を派遣することが行われています。
このような「専ら派遣」が自由に認められると、企業は、本来自ら雇用すべき労働者を直接雇用することをせず、子会社等を専用の労働者供給機関として労働力を確保するようになります。
この結果、その企業の労働者は派遣社員ばかりになり、正社員として採用されるべき労働者の雇用機会が奪われることとなり、正常な労働市場の機能にも悪影響を与えることになります。
派遣法が本来的に意図するものとは異なります。
このような理由から、「専ら派遣」は、平成11年の改正法施行前にあっては事業許可が与えられていましたが、平成11年以降は禁止されています。
「専ら派遣」の判断基準は、この基準に該当すると認められるときには派遣事業としての許可が下りません。
「専ら派遣」を目的とした派遣が行われている場合、一定理由に該当する場合を除き、厚生労働大臣は労働者派遣事業の目的または内容を変更するよう勧告することができます(法48条2項)。
また一般労働者派遣事業の場合は、許可制であるので、違反した場合は厚生労働大臣により、許可の取消しや事業の停止命令が課されます(法14条)。
派遣法はその7条1項一一号において、「専ら派遣」を禁じた上で、「雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合において行われるものを除く」とし、例外の存在を認めています。
具体的な例外としては、派遣則1条の3において「派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、60歳以上の派遣労働者(他の事業主の事業所を60歳以上で定年退職した後に雇い入れた者に限る)が全体の10分の3以上を占めている場合」に、「専ら派遣」でもこれを認めるとしています。
これは、定年退職者の雇用機会を確保し、進行する高齢化社会への対処措置として導入されたものです。
<「専ら派遣」判断基準(取扱要領第13、4(3))>
次に掲げるいずれかに該当する場合は「専ら派遣」と判断されます。
@定款、登記事項証明書などに特定の者に派遣することを目的とする記載がある場合
A派遣先を確保するための努力が客観的に認められない場合
・「派遣先を確保するための努力が客観的に認められない場合」とは不特定の者を対象とした派遣先の確保のための宣伝、広告等を正当な理由なく随時行っていない場合をいう
B労働者派遣の役務の提供を受けようとする者からの労働者派遣の依頼に対し、特定の者以外からのものについては正当な理由なくすべて拒否している場合
・「正当な理由」とは、派遣労働者の確保のための努力が、客観的に認められるにもかかわらず、派遣労働者の人数が足りない場合等である
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|