放送会社の解雇権の濫用
<判例>
Aは、放送事業を営むB会社でアナウンサーとして勤務していたが、宿直勤務に際して寝過ごし、午前6時からのニュース(10分間)を全く放送できず、その約2週間後にもやはり寝過ごしてニュースを約5分間放送できなかった。
これらAの行為について、Bは本来なら就業規則に基づき懲戒解雇にすべきところ、本人の将来等を考慮して普通解雇とした。
第一審、第二審ともAの地位確認等請求を認容した。
「しかしながら、普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるというべきでである。
本件においては、Aの起した第一、第二事故は、定時放送を使命とするB会社の対外的信用を著しく失墜するものであり、また、Aが寝過ごしという同一態様に基づく特に2週間以内に2度も同様の事故を起したことは、アナウンサーとしての責任に欠け・・・事情のもとにおいて、Aに対し解雇をもってのぞむことは、いささか苛酷にすぎ、合理性を欠くうらみなしとせず、必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできないと考えられる余地がある。
(高知放送事件 最二小判昭和52・1・31 労判268)
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