組合費のチェック・オフの判例
<判例>
Xらは、Y会社の従業員であり、Yの従業員で組織されるA組合の組合員であった。
Xらは、A執行部と闘争方針の相違から対立するようになり、B組合を結成し、独自の組合運動を展開した。
B結成にあたり、A脱退の手続(理由を明記した脱退届の提出と中央執行委員長の承認)はとられていないものの、後日、地労委により、Bの資格審査決定が行なわれている。
Bは、Yに対して、同月以降のチェック・オフにかかるAの組合費をBが指定する銀行口座に入金するよう申し入れ、組合費引去停止依頼書を添付した上で、B指定口座への入金を申し入れた。
しかし、YはXらの賃金等からAの組合費をチェック・オフし、Aに交付した。
そこで、かかるYの行為が不法行為に当るとして、損害賠償を求めたのが本件である。
労基法「24条1項但書の要件を具備するチェック・オフ協定の締結は、これにより、右協定に基づく使用者のチェック・オフが同項本文所定の賃金全額払いの原則の例外とされ、同法120条1号所定の罰則の適用を受けないという効力を有するにすぎないものであって、それが労働協約の形式により締結された場合であっても、当然に使用者がチェック・オフをする権限を取得するものでないことはもとより、組合員がチェック・オフを受忍すべき義務を負うものではないと解すべきである。
したがって、使用者と労働組合との間に右協定(労働協約)が締結されている場合であっても、使用者が有効なチェック・オフを行なうためには、右協定の外に、使用者が個々の組合員から、賃金から控除した組合費相当分を労働組合に支払うことにつき委任を受けることが必要であって、右委任が存しないときには、使用者は当該組合員の賃金からチェック・オフする事はできないと解するの相当である。
そうすると、チェック・オフ開始後においても、組合員は使用者に対し、いつでもチェック・オフの中止を申し入れることができ、右中止の申し入れがされたときには、使用者は当該組合員に対するチェック・オフを中止すべきである」。
(エッソ石油事件 最一小判平成5・3・25 労判650)
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