派遣契約の解雇無効の判例
<判例>
Xは、一級建築士等の資格を持つ労働者で、土木建築工事の設計監理に関わる労働者を派遣する業務を目的としているY会社(許可を得ていない)において、平成14年末ころ、面接を受けて派遣社員として登録した。
Xは、平成15年1月20日から同年3月末日までA設計会社に派遣されて、同社が請け負ったB市の排水管敷設工事の施行管理に従事し、さらに4月5日から7月末までの予定でのC設計会社に派遣され、同社がD町から請け負った水道工事の施行管理の業務に従事した。
ところが、YはAから派遣社員の交代を要請されたため、YはXに対し、5月6日付けで交代を命じ、Xは派遣先での就労を中止した。
同時に、YはXを解雇した。
なお、その後Cの業務は、交代したYの従業員が就労した。
Xは、この解雇が無効であると主張し、主位的に派遣の残期間に受け取るべき給与の残額を、予備的に休業手当等を請求した。
「Yとしては、派遣先から、Xの勤務状況が、Yと派遣先との労働者派遣契約上の債務不履行事由に該当すると主張して、Xの就労を拒絶し、その交代を要請されたとしても、Xの勤務状況について、これをよく知る立場になく・・・、派遣先の主張を争うことは極めて困難というべきである・・・。
このような状況下において、派遣先からXの就労を拒絶された場合、Yとしては、乏しい資料しかないにもかかわらず、派遣先によるXの交代要請を拒絶し、債務不履行事由の存在を争って、派遣代金の請求をするか否かを判断することもまた困難というべきである。
そうすると、Yが派遣先との間で、債務不履行事由の存否を争わず、Xの交代要請に応じたことによって、Xの就労が履行不能となった場合、特段の事情のない限り、XのYに対する賃金請求権・・・は消滅するというべきである」。
「一方、Yの判断により、派遣先との紛争を回避し、派遣先からのXの就労拒絶を受け入れたことにより、派遣先におけるXの就労が不可能となった場合は、Xの勤務状況から、Yと派遣先との労働派遣契約上の債務不履行事由が存在するといえる場合を除き、労働基準法26条にいう「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、Xは、Yに対し、休業手当の支給を求めることができると考える」。
(三都企画建設事件 大阪地判平成18・1・6 労判913)
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