年齢詐称で懲戒解雇の判例
<判例>
Y会社の経営する店舗でマッサージ業務に従事していたXが、Yの担当者に年休の取得を請求したところ、Yは、就業規則所定の懲戒事由「正当な理由なく、しばしば無駄欠勤し、業務に不熱心であるとき」に該当するとして、Xを懲戒解雇した。
これに対して、Xが地位保全等の仮処分を申し立てた。
Yは、その仮処分事件の答弁書において、本件懲戒解雇が無効である場合には、XがYに採用される際に実際よりも年齢を若く記載した履歴書を提出していたことが、就業規則所定の懲戒事由「重要な経歴をいつわり、その他不正な手段により入社したとき」に該当し、これを理由に懲戒解雇を行う旨の意思表示を行った。
そこでXは、当該懲戒解雇の無効を主張し、解雇後の賃金の支払を請求して提訴した。
「使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。
したがって、懲戒当時の使用者が認識していなかった非違行為が、特段の事情のない限り、当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないものというべきである。
これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、本件懲戒解雇当時、Y社において、Xの年齢詐称の事実を認識していなかったというのであるから、右年齢詐称をもって本件懲戒解雇の有効性を根拠づけることはできない」。
(山口観光事件 最一小判平成8・9・26 労判708)
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