就業中の組合活動の判例
<判例>
X会社は、参加人Z組合がストを実施したことを契機に、Zに対する態度を硬化させ、団交に誠意をもって応じなかったり、組合集会の妨害や組合旗の撤去などをしたりした。
そこで、Zの執行委員であるAらは、就業時間中に職場を離脱して抗議行動や対策協議を行い、これに対して、Xは、Aらの賃金カットなどを行なった。
そこで、Zは、こうした取扱が労組法7条1号・3号の不当労働行為に当たるとして、Y地労委に救済を申し立てた。
YはZの申立を認めて救済命令を発したため、これを不服として、Xが取消訴訟を提起したところ、一審は、Xの請求を棄却したため、Xが控訴したのが本件である(Xの上告に対して、最高裁は、原審判断を是認できると判示)。
「就業時間中の組合活動のための職場離脱は原則として右義務に違反することになる。
しかしながら就業規則中の組合活動のための職場離脱であっても、・・・当該組合活動が労働組合の団結権を確保するために必要不可欠であること、右組合活動をするに至った原因が専ら使用者側にあること、右組合活動によって会社業務に具体的な支障を生じないこと、以上の事情があるときには、就業時間中の組合活動であったも正当な組合活動として許容され、これを理由とする不利益処分は許されないと解する」。
「通常の私企業における労働者の職務専念義務は、これを厳格に把握して精神的肉体的活動の全てを職務遂行に集中すべき義務と解すべきではなく、労働契約上要請される労働を誠実に履行する義務と解すべきであるから、労働者は就業時間中は使用者にいわば全人格的に従属するものと解すべきではなく、労働契約上の義務と何ら支障なく両立し使用者の業務を具体的に阻害することのない行為は必ずしも職務専念義務に違背するものではない」。
(オリエンタルモーター事件 東京高判昭和63・6・23 労判521 最二小判平成3・2・22 労判586)
転職サイトを使いこなす!
スポンサードリンク
|
|