労働審判の知識
労働トラブルでは、賃金の未払いなど会社側に一方的に責任がある場合がありますが、会社側にもそのトラブルに関して理由がある場合があります。
業績が悪いので人員節減のため、会社側が残業をしないように命令を出していたにもかかわらず、残業して残業代が出ないような場合です。
労働者側は、就業時間中に終わらないような量の仕事を与えることは残業を強いたもので、残業代を払うべきだと主張し、会社側は残業をするなという指示に違反して残業をしたのだから支払わないと主張します。
こうした問題は話し合って解決するのが一番で、双方が自分の主張を言い合い、お互い妥協して解決します。
しかし、労働者が会社を相手にする場合、交渉の過程においても就業をしなければなりません。
そのため、仕事上で上司につらく当られることもあり、難しい交渉になります。
話し合いによる解決は、一種の示談で、裁判外の和解といいます。
組合がある場合は、組合を通じて、間に経ってもらい話し合うことも必要です。
話し合いで解決できない場合で、裁判所を活用した解決法の一つに民事調停があります。
これは会社の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てると、その事件について裁判所は調停委員会を設け、調停委員が双方の主張を聴き、合意により解決するものです。
合意すれば調停調書が作成され、合意できない場合は調停は不成立に終わります。
現在では労働審判制度ができ、民事調停はあまり利用されていないようです。
労働審判とは、個別労働紛争に関して、裁判官と労働関係の専門的な知識を有する者が事件を審理し、調停の見込があればこれを試み、そうでなければ審判という決定を出すというものです。
労働審判の申立先は地方裁判所で、通常、3回以内の審理で終わる簡易迅速な手続なのです。
これでも解決しないような場合には、民事訴訟を裁判所に提起する必要があります。
訴額が140万円以下の場合は簡易裁判所が取り扱い、140万円超は地方裁判所が取り扱います。
また、訴訟には小額訴訟があり、訴額が60万円以下で未払賃金などの金銭問題の場合には、原則1回の審理でその日に判決が出ます。
また、労働基準監督署について、労働基準監督署とは、企業が労働基準法等の労働条件を守っているかを監督する機関で、賃金不払いや労働安全衛生になど労働基準法等の違反があれば、労働者からの申告で調査が開始されます。
労働基準監督官は、刑事訴訟上の捜査・逮捕・送検等の権限を持っていますので、調査が開始された段階で違法な労働条件が改善されることもあるようです。
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